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椎間板ヘルニアについて

執筆者の写真: 一軌 阿万一軌 阿万


椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニア(herniated disc)は、背骨(脊椎)を構成する椎骨の間にある椎間板が損傷し、その内部にある髄核(柔らかいゼリー状の組織)が外側に飛び出し、周囲の神経を圧迫する状態を指します。この病態は、特に腰部(腰椎椎間板ヘルニア)や頸部(頸椎椎間板ヘルニア)でよく発生し、激しい痛みやしびれ、筋力低下を引き起こします。


椎間板の構造と機能

椎間板は、脊椎を構成する各椎骨の間に挟まれており、以下の2つの主要な部分から成り立っています。

  1. 髄核(ずいかく)椎間板の中央にあるゼリー状の組織で、圧力を吸収する役割を担います。体重や外部からの衝撃を分散し、脊椎の柔軟性を保つ働きをします。

  2. 線維輪(せんいりん)髄核を包み込む硬い繊維状の外壁で、椎間板の形状を保持し、髄核が外に飛び出すのを防ぎます。

椎間板の構造は、体重や動作による衝撃を吸収しながら脊椎の動きをスムーズにするため、日常生活の動作を支える重要な役割を果たしています。


椎間板ヘルニアの原因

椎間板ヘルニアの発生には、加齢や生活習慣、身体的負荷などが関係します。主な原因を以下に示します。

  1. 加齢による変性椎間板は加齢とともに水分量が減少し、弾力性が低下します。このため、髄核が硬化して衝撃に弱くなり、外的な圧力によって線維輪が破れやすくなります。

  2. 過度の負荷や動作重い物を持ち上げる、無理な姿勢で作業を行うなどの動作が、椎間板に過剰な圧力をかけることがあります。これが繰り返されると線維輪が損傷し、髄核が飛び出します。

  3. 姿勢の悪さ長時間の座り作業や猫背など、不良姿勢が椎間板に慢性的な負担を与えます。

  4. 外傷転倒や交通事故などによる衝撃が椎間板を損傷することがあります。

  5. 遺伝的要因椎間板ヘルニアになりやすい体質や、線維輪の強度が低い遺伝的傾向があると考えられています。


主な症状

椎間板ヘルニアの症状は、髄核が飛び出した位置や神経への影響の程度によって異なりますが、以下のような特徴があります。

1. 腰椎椎間板ヘルニア

  • 腰痛: 鋭い痛みや鈍い痛みが腰に現れる。

  • 坐骨神経痛: 神経が圧迫されることで、臀部から脚にかけて放散するしびれや痛み。

  • 筋力低下: 足や脚の筋力が弱くなり、歩行が困難になる場合がある。

  • 感覚障害: 足先や指先にしびれや感覚の鈍さを感じる。

2. 頸椎椎間板ヘルニア

  • 首の痛み: 頸部に鋭い痛みが現れる。

  • 腕や手のしびれ: 上肢にしびれや感覚の異常が現れる。

  • 頭痛やめまい: 頸部の神経や血流が影響を受ける場合に発生。

  • 筋力低下: 手や腕の筋力低下がみられる。


診断方法

椎間板ヘルニアの診断には、患者の症状や身体的検査、画像診断が用いられます。

  1. 問診痛みの部位、性質、発症のきっかけなどを確認します。

  2. 身体検査神経反射の検査や、痛みやしびれの範囲、筋力低下の有無を確認します。

  3. 画像診断

    • MRI(磁気共鳴画像法): 椎間板や神経の状態を詳細に確認できる最も有効な方法。

    • CT(コンピュータ断層撮影): 骨や椎間板の状態を立体的に把握可能。

    • X線撮影: 骨の異常や脊椎のアライメントを確認。


治療法

椎間板ヘルニアの治療法は、症状の重さや患者の状態によって異なります。治療は主に「保存療法」と「手術療法」に分類されます。

1. 保存療法

軽度から中等度の症状に対して用いられる治療法で、次のような方法があります。

  • 薬物療法痛みや炎症を軽減するために、鎮痛薬(NSAIDs)や筋弛緩剤、神経障害性疼痛薬を使用します。

  • 接骨院や整形外科での治療(リハビリテーション)筋力を改善し、症状を緩和するためのストレッチや筋力トレーニングを行います。

  • 神経ブロック療法痛みが強い場合、局所麻酔薬を神経周囲に注射して痛みを緩和します。

  • 生活指導姿勢の改善や、腰や首への負担を軽減するための日常生活のアドバイスが行われます。

2. 手術療法

保存療法で効果が見られない場合や、神経圧迫による重篤な症状(排尿障害、重度の筋力低下など)がある場合には、手術が検討されます。

  • 椎間板摘出術飛び出した髄核や圧迫している部分の椎間板を除去します。

  • 内視鏡手術小さな切開で内視鏡を用いて行う手術で、回復が早いのが特徴です。

  • 脊椎固定術不安定な脊椎を固定し、症状の悪化を防ぐ手術です。


日常生活での注意点

椎間板ヘルニアを予防・改善するためには、日常生活で以下の点に注意することが重要です。

  1. 正しい姿勢を保つ座る、立つ、歩く際に背筋を伸ばし、腰に過度な負担をかけないようにします。

  2. 適度な運動ウォーキングやストレッチ、コアマッスルを鍛えるトレーニングを取り入れることで、椎間板の負担を軽減できます。

  3. 重い物を持つ際の注意物を持ち上げる際は、腰ではなく膝を曲げて持ち上げるようにします。

  4. 体重管理肥満は椎間板への負担を増大させるため、適正体重を維持することが重要です。

  5. 定期的な体のケア(治療機関への受診)


まとめ

椎間板ヘルニアは、椎間板の損傷により神経が圧迫されることで生じる病態で、腰痛やしびれなどの症状を引き起こします。適切な診断と治療を受けることで多くの場合は症状を緩和できますが



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