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冷えるとなぜ筋肉がつりやすくなるのか

  • 執筆者の写真: 一軌 阿万
    一軌 阿万
  • 2月18日
  • 読了時間: 4分

1. 筋肉の仕組みと「つる」現象

筋肉が「つる」というのは、医学的には筋痙攣(きんけいれん)と呼ばれる現象です。これは、筋肉が不随意に収縮し、持続的に硬直する状態のことを指します。一般的には「こむら返り」として知られており、特にふくらはぎや足の裏、太ももなどで起こりやすいです。

筋肉は、脳や脊髄から送られる電気信号によって収縮と弛緩(しかん)を繰り返しています。この動きをスムーズに行うためには、適切な血流、電解質バランス、温度調節が必要です。しかし、これらの条件が崩れると筋肉が異常な収縮を起こし、「つる」ことになります。

では、なぜ冷えると筋肉がつりやすくなるのかを詳しく見ていきましょう。


2. 冷えによる血流の低下

冷えが筋肉に影響を与える最大の要因は、血流の低下です。寒さを感じると、体は熱を逃がさないように血管を収縮させます。この結果、特に手足の末端の血流が悪くなり、筋肉に必要な酸素や栄養が不足します。

筋肉が正常に動くためには、以下の物質が必要です。

  • 酸素(筋肉のエネルギー代謝に関与)

  • 電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど)(筋収縮や神経伝達に関与)

  • ブドウ糖(グルコース)(エネルギー源)

血流が悪くなると、これらの物質の供給が滞り、筋肉が適切に収縮・弛緩できなくなります。その結果、異常な収縮が発生し、筋肉がつるのです。


3. 筋肉の硬直と神経の異常興奮

冷えによって血流が悪くなると、筋肉そのものが硬くなります。寒い日に肩がこる、体がガチガチになるという経験は誰にでもあるでしょう。これは、冷えによって筋肉が持続的に収縮しやすくなるためです。

さらに、筋肉が硬くなることで神経の働きにも影響が出ます。筋肉の収縮を調整する神経は、適切な温度や血流のもとで正しく働きます。しかし、冷えによって神経の伝達が乱れると、筋肉が不必要に収縮する指令を出してしまうことがあります。これが、冷えによる「つり」の一因となります。


4. 電解質バランスの乱れ

筋肉が正常に収縮・弛緩するためには、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった電解質(ミネラル)がバランスよく存在する必要があります。特に、筋収縮にはカルシウムが、弛緩にはマグネシウムが重要な役割を果たします。

寒い環境にいると、発汗が減るため水分摂取が少なくなりがちです。その結果、体内の電解質バランスが乱れ、筋肉のコントロールが不安定になることがあります。特に、マグネシウム不足は筋肉の過度な収縮を引き起こし、つりやすい状態を招きます。


5. 筋肉のエネルギー不足

筋肉が適切に動くためには、**ATP(アデノシン三リン酸)**というエネルギーが必要です。ATPは、ブドウ糖や脂肪を分解することで作られますが、冷えによって代謝が低下するとATPの産生量も減少します。

ATPが不足すると、筋肉はエネルギー不足になり、適切に弛緩できなくなります。その結果、筋肉が持続的に収縮し、「つる」状態を引き起こします。


6. 夜間や早朝に足がつりやすい理由

冷えによる筋肉のつりは、特に夜間や早朝に起こりやすいです。これは、次のような理由によります。

  1. 体温が下がる人間の体温は、夜になると自然に低下します。特に足先やふくらはぎは冷えやすく、血流が悪くなることで筋肉がつりやすくなります。

  2. 水分摂取が少ない寝ている間は水分を摂らないため、体内の電解質バランスが崩れやすくなります。

  3. 寝返りが少なく血流が滞る長時間同じ姿勢で寝ていると、特定の筋肉に負担がかかり、血流が悪くなります。これが原因で筋肉がつることがあります。


7. 冷えによる筋肉のつりを防ぐ方法

冷えによる筋肉のつりを防ぐためには、以下のような対策が有効です。

① 体を温める

  • 湯船に浸かる(特に就寝前に38~40℃のぬるめのお湯に入る)

  • 靴下やレッグウォーマーを着用する

  • カイロや湯たんぽを活用する

  • 寝具を工夫する(毛布や電気毛布を使う)

② 水分とミネラルを補給する

  • 寒くても意識的に水を飲む

  • マグネシウムやカルシウムを含む食品(ナッツ、海藻、乳製品など)を摂る

  • スポーツドリンクや経口補水液を適量飲む

③ ストレッチやマッサージを行う

  • 寝る前に軽くストレッチをする

  • 足をマッサージして血流を良くする

  • 特にふくらはぎのマッサージは効果的

④ 適度な運動をする

  • 運動不足も筋肉のつりの原因になるため、ウォーキングや軽いスクワットを習慣化する

  • 長時間同じ姿勢にならないようにする


8. まとめ

冷えると筋肉がつりやすくなる理由は、血流の低下、神経の異常興奮、電解質バランスの乱れ、エネルギー不足などが影響しているためです。特に寒い季節や夜間はこれらの条件が重なり、筋肉がつりやすくなります。

これを防ぐためには、体を温める、水分・ミネラルを補給する、適度な運動やストレッチを行うことが重要です。日頃から冷え対策を意識し、筋肉が健康な状態を保てるように心がけましょう。

 
 
 

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